第3クオーター1分すぎ、関学大のRB山口(中央)が短いパスを受け、そのまま約40ヤードを駆け抜けてタッチダウン=神戸・王子スタジアム
アメリカンフットボールの関西学生リーグは27日、神戸・王子スタジアムで開幕節の残り1試合があった。2連覇を狙う関西学院大が昨シーズン最下位の同志社大を28―0で下したが、前半は7点だけ。すっきりしない白星スタートとなった。
関学はこの日、数日前に腰を痛めた新エースQB光藤航哉(みつどう、3年、同志社国際)を欠場させた。代わりに出た西野航輝(3年、箕面自由学園)が率いるオフェンスは第1クオーター(Q)3分5秒、RB富永将史(3年、関西学院)の4ヤードタッチダウン(TD)ランで7点を先取。しかしここから西野のパスが決まらず、ランも進まない。前半終了間際には同大に攻め込まれた。
だが、ゴール前7ヤードからの第2ダウン7ヤードで、TD狙いのパスを1年生LBの海崎(かいざき)悠(追手門学院)がインターセプト。何とか7―0とリードを保って折り返した。同大はランが好調だっただけに、ランを続けてダメならフィールドゴール(FG)の3点狙いでもよかったし、投げるにしてもインターセプトの危険性のあるパスは避けるべきだった。
後半に入ってようやく関学のオフェンスがかみ合い始める。第3Q1分すぎ、QB西野からのショベルパスを受けたRB山口祐介(3年、横浜栄)が味方のブロックに守られながら約40ヤードを駆け抜けるTD。さらにこの春はRBとしてプレーした西野が俊足を生かして敵陣へ攻め込み、第3Q5分すぎにRB高松祥生(4年、箕面自由学園)のTDランで試合を決めた。さらに10分すぎにも高松のランでTDを加えた。
試合後の鳥内秀晃監督は「勝ってよかったわ」と苦笑い。前半にラン攻撃が進まなかったのは光藤の欠場とは関係ないだけに、「OLとRBがかみ合ってない」と苦言を呈した。
相手にぶち当たって走路を切り開く5人のOLは、昨シーズンから主将の井若大知(4年、箕面自由学園)が残っただけで、4人が入れ替わった。まだまだRBとのコンビネーションが熟成していないことが露呈した。第3節の9月22日には、開幕戦で6年ぶりに関大を下した京大と対戦する。監督は「このままでは絶対に京大に負ける」と言い切り、囲み取材の最後に「おもろないわ」と吐き捨てた。
前半終了間際にインターセプトを決めた海崎は「先輩のみなさんが『好きなようにやれ』と言ってくれたので、思い切ってやれました」と初々しい笑顔で喜んだ。ほかにも相手の正面から低いタックルを決めていた。海崎は中学時代に池田ワイルドボアーズのチームメートだったQB奥野耕世、OL阿部光葵(ともに関西学院)とまた一緒にフットボールがしたくて関学大を志した。そして二人よりも先に先発出場を果たした。海崎は「これからも今日みたいに試合の流れを変えるプレーを狙いたいです」と前を見た。
この日欠場したQB光藤は「今日は西野に任せてサポートに徹しました。次の桃山戦からいきます」と話した。4年生はそろって坊主頭にしているが、3年生の光藤もきれいに刈っていた。「よくも悪くも自分次第だと思ってます。自分がへこんだら、チームが負ける。そうはしないという意思表示で坊主にしました」と語った。光藤の戦列復帰とともに、関学オフェンスは上向くか。(篠原大輔)