平和祈念像の前で座り込みをする被爆者ら=9日午前10時53分、長崎市の平和公園、山野健太郎撮影
長崎原爆の月命日にあたる9日、長崎市の平和公園で「反核9の日座り込み」があった。今月6日に国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞が決まってから初の座り込み。参加者は、被爆者と連携して核廃絶を訴えてきたICAN受賞への喜びを語り、「核なき世界」をめざす取り組みへの思いを新たにしていた。
特集:核といのちを考える
平和祈念像前での座り込みは毎月9日に行われ、今回で426回目。被爆者や平和運動に関わる団体などの約90人が参加し、原爆投下時刻の午前11時2分に黙禱(もくとう)を捧げた。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(77)は「ICANのノーベル賞受賞はうれしい。みんながノーベル賞をもらったと思って、これからも運動を進めていこう」と呼びかけた。
6月に米ニューヨークの国連本部であった核兵器禁止条約の交渉会議を傍聴した長崎市の被爆者、川副忠子さん(73)も座り込みに参加。ICANのメンバーと交流がある川副さんは、「若い人たちが頑張ってくれている。(受賞は)自分のことのようにうれしかった。核廃絶運動が平和賞の対象になったということは、私たちの運動が世界共通の運動だと認められたということ」と喜んだ。
8月に核兵器廃絶を求める署名をジュネーブの国連欧州本部に届けた高校生平和大使の溝口祥帆(さちほ)さん(16)は、ICANの平和賞受賞について「私たち若い世代が、次の時代の平和を作っていかないといけないという意味が込められていると思う」と話した。
同じころ、平和公園にある「長崎の鐘」を、長崎県被爆者手帳友の会の会員や平和公園を訪れていた観光客ら約30人が鳴らした。同会の井原東洋一(とよかず)会長(81)は「ICANは国際的に、献身的に核兵器禁止条約に取り組んでくれた。我々被爆者の手が届かない所まで広がりを作ってもらった。平和賞に最もふさわしい受賞だ」と話した。(山野健太郎)