吹き矢を手にする早稲田宏一研究員=札幌市
北海道稚内市の市街地に出没するエゾシカに対し、市は31日から3日間、麻酔薬を仕込んだ「吹き矢」による捕獲をする。9年前に知床の羅臼町で実施した例があるが、街中に居つくエゾシカへの試みは異例。猟銃が使えない住宅地や公園での捕獲手法の一つとして注目される。
市から捕獲の委託を受けたのは、野生動物の調査研究や被害対策で実績のあるNPO法人「EnVision環境保全事務所」(札幌市)。札幌市で7年前から吹き矢による麻酔捕獲に取り組んでおり、これまで住宅地に迷い込んだ「問題ジカ」など40頭近くを捕獲している。
吹き矢はダーツゲームに使われる矢のような形で、市販の注射器を改造した。長さ91センチ、口径16ミリの金属製の筒を使い、約5メートルまで近づいて太ももを狙って矢を発射する。矢が刺さると注射器内の麻酔薬がガス圧で針から押し出され、筋肉に浸透していく。麻酔薬は1本2・7ミリグラムを予定。体重90キロのエゾシカだと15分ほどで麻酔が効いて動けなくなる量という。エゾシカが興奮していると効き目が弱いため、さらに1本用意する。吹き矢で驚き、住宅地や道路に飛び出さないよう、市職員や地元猟友会員が周りで見張ることにしている。
羅臼町では2008年5~6月…