東京証券取引所での1部再上場のセレモニーで鐘を鳴らすシャープの戴正呉社長=7日午前11時15分、東京都中央区、角野貴之撮影
経営危機で東京証券取引所2部に「降格」していたシャープの株式が7日、1年4カ月ぶりに同1部へ復帰した。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り再建を進め、業績を急速に改善させた。戴正呉(たいせいご)社長は同日の記者会見で、2019年度までは経営陣にとどまるものの、後継者の育成を急ぐ考えを表明した。
同日午前、東証でセレモニーを行い、戴社長が記念の鐘を鳴らした。東証1部での取引は午前9時、前日の終値より20円高い3905円で始まった。2部に落ちた昨年8月1日の4倍以上の水準まで回復している。1部への復帰は今年6月に申請し、東証が11月30日に認めていた。
戴社長は会見で、「中期経営計画の達成は私の使命。責任を一身に背負い、最終年度の19年度まで全力をあげて(経営に)取り組む」と述べた。19年度までとの期限を区切り、経営の中枢にとどまることを示すものだ。昨年12月には、「1部に復帰したら私は台湾に帰る」と社長退任を示唆していた。
一方、来年1~6月の間に共同CEO(最高経営責任者)を設け、一部の権限を委譲する方針も明らかにした。次期社長への就任をにらみ、シャープ社内を中心に人選するとみられる。
シャープは昨年3月末時点で借金などの負債が資産を上回る「債務超過」に陥り、東証の規定で2部に指定替えになった。その直後、鴻海の出資を受けて債務超過を解消。鴻海出身の戴社長のもと、液晶パネルの販売拡大や、経費の削減に取り組んだ。17年3月期には営業損益が3年ぶりに黒字になり、18年3月期には純損益も黒字に転換する見通しだ。(金本有加)