乳がんの手術を経て仕事に復帰した元SKE48の矢方美紀さん=2018年4月16日午後、名古屋市中区、吉本美奈子撮影
乳がん手術を受けたことを公表した元SKE48のメンバーでタレントの矢方美紀さん(25)が、本格的に仕事に復帰した。16日夜、ZIP―FM(名古屋市)のラジオ番組の収録前に朝日新聞の取材に応じ、「(持ち前の)明るさでいろんな人を元気づけられるようになりたい。病気をしたからではなく、ひとりの『矢方美紀』という存在を発信していきたい」と語った。
昨年末、メディアで知った乳がんのセルフチェックをたまたましてみたところ、左胸の上の方に「ビー玉みたいな丸みを帯びたしこり」があるのに気づき、病院で検査を受けた。
その結果、乳がんでリンパにも転移していると判明。聞いたときは現実を受け止められず、「ショックしかなかった。まさか、この年で(がんに)なるとは思ってもいなかった。感情があふれる感じになった」という。
3月末に入院。4月初旬に左乳房全摘出とリンパ節切除の手術を受けた。治療方法は自分で決めたという。「一部を残す選択肢もあったが、再発したときのことを考えた。再建手術もできるし、経験された方の文章などを目にして、手術をしたからそんなに早くどうこうなることはないと思った」と振り返る。
手術前は、浴室の鏡の前で胸の片方を隠すなど「あるものがないイメージをしておこう」と努めた。近づくにつれ、「焦りや不安で、いつもの感じではいられなかった」。当日は家族に「行ってくる」「また後で」と話すなど、淡々と迎えた。術後は「次の日には立って歩けて、人間はすごいなと思った」と話す。
当初は公表しないつもりだったが、「今後長くつき合っていく病気だから、ファンや仕事の関係者には、きちんと伝えた方がいい」と決断した。
13日にブログで思いをつづると、このときまで矢方さんを知らなかった人からも反響があった。「乳がんについて改めて考えていかないといけないと思った」。そんな書き込みを読んで「伝えてよかった」と感じたという。
今後も名古屋を拠点に仕事を続ける。意欲を見せるのは声優業や地元のアニメ文化の発信だ。「(東京だけでなく)名古屋からもできるということを発信したい。東海地方の魅力をさらに広めていきたいです」
16日夜に収録した番組「SCK」は22日午前1時から放送予定。(原知恵子)
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やかた・みき 大分県出身。2009年に名古屋を拠点とするアイドルグループ・SKE48のメンバーとしてデビュー。17年2月にグループを卒業した。