米連邦議会の2018年中間選挙の試金石とされる南部アラバマ州の上院議員補欠選挙は12日、投開票が行われた。複数の米メディアによると、民主党のダグ・ジョーンズ候補が、わいせつ疑惑が浮上していた共和党のロイ・ムーア候補との大接戦を制して勝利を確実にした。トランプ大統領にとって大きな打撃になるのは必至だ。
同州は昨年の大統領選で、トランプ氏が民主党のクリントン候補に28ポイント差で勝った共和党の牙城(がじょう)。民主党が上院選挙で勝利するのは25年ぶりという。ジョーンズ氏は選挙戦で、医療制度や教育の充実を訴えた。
一方の共和党は分裂状態だった。共和党候補を決める9月の予備選挙で、党主流派が推す候補を排外主義的な考えを打ち出すムーア氏が破った。ホワイトハウスを去ったバノン前大統領首席戦略官もムーア氏支持に回り、反エスタブリッシュメント(既得権層)を掲げて打倒主流派を宣言した。さらに11月、ムーア氏が約40年前に10代を含む約10人の女性に無理やり体を触るなどわいせつな行為を繰り返していた疑惑が浮上した。同党の議員が公然と不支持を表明するなど、混迷を極めていた。
これで定数100の上院で共和党は51議席となり、トランプ政権の目玉政策、税制改革法案などの見通しが不透明になった。最終盤にトランプ氏は「民主党の議席はいらない」とムーア氏の支持を打ち出していただけに、痛手を避けられそうにない。(モンゴメリー〈アラバマ州〉=土佐茂生)