首都圏が地盤のスーパー「いなげや」(東京都立川市)の男性社員(当時42)が2014年6月に脳梗塞(のうこうそく)で死亡したのは、会社が労働時間の把握を怠って過重労働させたからだとして、男性の遺族は27日、会社に約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。遺族の代理人の弁護士が記者会見し、発表した。
これ以上働いたら壊れちゃう サービス残業の末の過労死
訴状などによると、男性はいなげや志木柏町店(埼玉県志木市)の一般食品売り場の責任者だった。14年5月下旬に勤務中に急に言葉が出なくなって入院。数日後に退院したが、同年6月5日の勤務後に意識を失い、同21日に死亡した。遺族側は発症前1カ月間の時間外労働は少なくとも100時間近くに上り、その他にも勤務記録に残らない「サービス残業」が常態化していたと主張している。
さいたま労働基準監督署は昨年6月に男性の労災を認定した。これを受けて遺族は今年4月、いなげやに謝罪や損害賠償を求める通知書を送ったが、会社側との交渉が進まないため、訴訟に踏み切ったという。遺族は代理人を通じて「何とか話し合いでの解決を模索しようと考えておりましたが、まともに回答すらしてくれない会社の対応には残念でなりません」とのコメントを出した。いなげやの広報担当者は「訴状を確認していないのでコメントは控えさせていただく」としている。