郊外の道をクルマで流していると、「水曜どうでしょう」ステッカーと並んでかなりの確率で遭遇するのが、字体の角が丸まった「D.A.D」という独特なロゴのステッカー。千葉・幕張メッセで開催中の東京オートサロンでも広い展示スペースを占める派手なカー用品ブランドのロゴマークだ。いまやアパレルの世界でも存在感を示す、このブランドの展示をのぞいてみた。
「D.A.D」は、株式会社「カクタスコーポレーション」(大阪府羽曳野市)のカー用品事業「ギャルソン」が展開する独自ブランド。読み方は顧客の間でもばらけているが、広報担当者によると正しいのは、かつてはドイツ語読みの「デー・アー・デー」だったが、現在は英語読みの「ディー・エー・ディー」としているという。
商品の特徴は、なんと言ってもその派手さ。黒や白を基調に、ロゴを大きくあしらったりクリスタルをちりばめたりと、カー用品離れした押し出しの強さだ。さらに、ラインナップの豊富さにも驚く。シートカバーやシフトノブ、フロアマットといった定番はもちろん、後席ガラス用のカーテンやバックミラーにぶら下げるネックレス状の飾りやティッシュケース、交通安全のお守りまで用意する。
もともとは、1990年に高級セダン用のマフラーを発売したのがこの事業の始まり。15年前ほどから、現在のような多様なラインナップになったという。いまや同じロゴを用いたアパレル商品も手広く展開。渋谷109(現在は閉店)やイオンモールなど、カー用品店以外でのテナント出店もしている。海外展開は現時点ではしていないが、その人気を裏付けるように中国産の模倣品が散見される。
いわゆる「マイルドヤンキー」層の支持が根強く、アパレル商品からファンになる女性もいるという。ただ、完成車メーカーと同じように、若者の車離れの影響は避けられず、2000年代に20歳代だった主な顧客層の年齢は、30~50歳代にシフトしているという。それでも、広報担当者に言わせれば「昔は、どヤンキーだけでした(笑い)」というかつての顧客層からの広がりは目を見張るものがある。「最新のドレスアップ(の形)を提案していきたい」という今後の事業展開に注目していくと、国内の自動車用品市場の先細り打開のヒントがあるかもしれない。(北林慎也)