審査会が開けないため、書類で審査するよう委員に依頼する福岡県の文書案(写し)
旧優生保護法のもと、障害者らが不妊手術を強制された問題で、朝日新聞が複数の県への情報公開請求などで入手した文書から、手術を決めた審査会の状況が明らかになった。「子供が不幸になる」など偏見や誤った認識に基づいて委員が発言し、判断していた。30日には宮城県の女性が同様の手術の違憲性を問い、国に賠償を求める初の訴訟を仙台地裁に起こす。
鳥取県優生保護審査会の議事録によると、1978年11月、遺伝性疾患とされた女性について医師が申請した手術が審査され、委員9人のうち8人が出席した。厚生省(当時)は通知で裁判官や検事、大学教授、都道府県医師会長、民生委員らが委員を務めるよう求めていた。
審査会では事務局が、女性の家族構成や生活歴を説明。「妊娠させられると困る」との理由で、父親が手術を求めたと述べた。
ある委員は、親族の病歴を調べ切れておらず、遺伝の根拠が薄いと指摘した。すると、精神科医の委員が「精神病というものは遺伝性が多いという原則論に基づいて、1人でもあったら関連性があったことにしないと」と発言した。
「生(産)んでも育てられない」「誰の子供かわからない」などの発言の後、委員長が「子供が最も不幸になることですね」。手術を認めるかを問うと、一同「異議なし」と答えた。
こうした議論の具体的な内容は…