滑稽本「旧観帖」の「さうずら」と民謡の合いの手を入れる箇所(2行になっている部分)
山梨に赴任して2年半。甲州弁にもすっかり慣れた。しかし、「ずら」の使い方はいまだによくわからない。甲州弁の代名詞とも言われているが、漫画やテレビで出てくるように、何でもかんでも語尾につけているわけではない。どんな時に使うのが正しい使い方なのか。調べてみた。
「ずら」と言えば、2014年放送のNHK朝ドラ「花子とアン」でたびたび出てきたことで、甲州弁と知った。昔読んだ野球漫画「ドカベン」ではひょうひょうとした二塁手「殿馬(とのま)」が「づら」と話していたし、最近ではアニメ「妖怪ウォッチ」で、こま犬にとりついていた妖怪「コマさん」が語尾に「ズラ」を付けているのが「どこの方言?」と、ネットで話題になっていた。
まずは甲府市の県立図書館で調べた。「日本方言大辞典」(小学館)の「ずら」の項目には「《助動》①(推量の意の古語「ずらん」の転)推量の意を表す。だろう」とあった。「だろう」の意味か。国立国語研究所「方言の形成過程解明のための全国方言調査」(10~15年度)に基づいた「新日本言語地図―分布図で見渡す方言の世界」(朝倉書店)という分厚い本も見つけた。ページをめくると、例えば「あの人はたぶん先生だろう」と話すとき、「ずら」の類いを使うのは「静岡、山梨、長野で目立つ」と書いてある。
でも、この前、ツイッターで「今宵(こよい)は皆既月食ずら」という言葉を見かけた。これは推量なのだろうか。ちまたの「ずら」の使い方は、どうも分からない。
というわけで、甲州弁といえば…