学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、共産党の宮本岳志衆院議員が15日の衆院予算委員会で、2016年春の売買協議の全容とする音声データの内容を示した。宮本氏は学園側がこの協議で「1億5千万円」と金額に言及しているとし、事前の価格交渉はなかったという財務省の佐川宣寿・前理財局長の答弁を問題視したが、麻生太郎財務相は「虚偽答弁ではない」と答えた。
特集:森友学園問題
学園側は土地を借りて小学校建設を進めていた16年3月、地中から「新たなごみ」が見つかったと財務省に連絡。3月24日に「(新たなごみの)撤去費を反映させた評価額で買い取りたい」と申し出た。
録音されているのはその直後の協議とみられ、学園と財務省近畿財務局、国土交通省大阪航空局が出席。財務省は時期を3月下旬~4月とし、国の担当者が「(ごみへの補償は)きっちりやるというストーリー」などと発言したことを認めている。一方、この協議は「撤去費用を見積もるための資料提出を要請する趣旨」と説明。野党側は「大幅値引きの口裏合わせ」と批判している。
国会ではこれまでテレビ報道をもとに協議の一部の音声データの内容が取り上げられていたが、宮本氏が示したのは約2時間分。宮本氏は学園が「(ごみ撤去費が)1億5千万円かかる分、(土地所有者の)航空局からもらって、それより低い金額で買いたい」と求めているとし、「先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」とした佐川氏の過去の説明を「虚偽答弁ではないか」と批判した。
麻生財務相は「虚偽答弁とは思わない」とだけ回答。太田充理財局長は、今回は学園側から希望額を示してもらって国の売却予定額と合うかを判断する「見積もり合わせ」をしていないとし、「この場合、相手から価格を承るという手続きはない。(佐川)前局長はそういうことも含めて価格交渉はないと申し上げた」と弁明した。(久保田一道)