佐々木蔵之介さん=山本倫子撮影
「天才を育てた女房」に出演
佐々木蔵之介さん「抜け道探し、思い詰めない」
カメラマンからのリクエストでしゃがみ込むと「こんな格好で写真を撮ってもらうのは初めてですよ」。楽しげに話すのを聞いた周囲から、自然と笑いが起こった。
一風変わったポーズは、読売テレビの開局60年スペシャルドラマ「天才を育てた女房~世界が認めた数学者と妻の愛~」(日テレ系、23日夜9時)にちなんだもの。演じる岡潔は、世界的な数学の難問を解決し、1960年には文化勲章を受章する。
しかし、日々の生活では数学が最優先。ひらめきがあれば地面にでも数式を書き始めてしまう。脇目も振らず自分の道を突き進んだ岡について、「こんなすごい方を演じるのは覚悟がいるなと思いました」と話す。なかなか学界から評価されない岡だったが、妻みち(天海祐希)は夫の才能を信じて支え続ける。
自己分析では「できたら楽したいと思っている」タイプらしい。だが、ドラマや映画で変わらぬ活躍をしながら、2014年には歌舞伎デビューを果たし、15年の舞台「マクベス」では登場人物20人を1人で演じた。「自分で自分は変えられないので、とりあえず環境を変えてみようっていうのがあるんです」。その姿勢はプライベートでも同じ。海外旅行の際は、思い通りにいかない経験をするのがむしろ好きなのだという。
今月で50歳になった。仕事に臨む際の姿勢に変化は?
「逆境があってもそれを楽しむというのか、『ああ笑えるな、この逆境』みたいに、少し引いて受け止められるようになった気がしますね」
これからも、仕事で楽をするつもりは全くないようだ。(文・佐藤剛志 写真・山本倫子)