2月24日に帰国し、祝福されるスキー複合の渡部暁斗(右)。翌25日には欧州遠征に出発した=照屋健撮影
平昌(ピョンチャン)冬季五輪は閉幕したが、選手たちのシーズンは続いている。ワールドカップ(W杯)の総合優勝、歴代最多勝利、世界選手権の2連覇……。それぞれの目標に向かって、再び世界の舞台へ旅立っている。
骨折していても狙う
ノルディックスキー複合の渡部暁斗(北野建設)は2月24日に帰国し、翌25日に欧州に出発した。平昌では、個人ノーマルヒルで2大会連続の銀メダル。金メダルには届かなかったが、今季の目標は、もう一つ、初のW杯個人総合優勝が残っている。「五輪で終わりという気持ちで臨むのではなくて、調子を高いところで維持して、3月末まで走りきりたい」
平昌直前に肋骨(ろっこつ)を骨折。一時帰国したときに「少し痛みはあるが、順調に回復している」と話した。W杯はここまで14戦5勝で、総合トップに立っている。残りは8戦、今月25日の最終戦まで予定通り出場する予定で、1992~93年シーズンから総合3連覇を達成した荻原健司(現北野建設スキー部GM)以来の日本勢優勝をめざす。
W杯歴代最多勝へ飛ぶ
ジャンプ女子で銅メダルを獲得した高梨沙羅(クラレ)は、男女を通じてW杯歴代単独となる通算54勝目がまだだ。昨季のW杯最終戦から11戦足踏みを続けている。2月14日に帰国し、28日未明に欧州へ出発した。残りは5戦。「まだやるべきことは残っている。(タイ記録の53勝を)超えていかないと、成長もない」
レジェンドも21歳も
メダルゼロに終わった男子ジャンプ陣も、W杯の残り7戦に出場するため、今月1日に日本を発った。4年後の北京五輪を目指すことを明言している45歳の葛西紀明(土屋ホーム)は、自身の持つ最年長の優勝、表彰台記録の更新なるか。平昌で個人ノーマルヒル7位、ラージヒル10位がともに日本勢トップだった21歳の小林陵侑(同)は初の表彰台が目標となる。
総合Vへ、さらなる高みへ滑走
メダルラッシュだったスピードスケート女子陣では、500メートルで金メダル、1000メートルで銀メダルだった小平奈緒(相沢病院)が、世界スプリント選手権(3、4日、中国・長春)で総合2連覇をめざす。500メートルの世界記録更新を狙っていたカナダ・カルガリーでの国際大会は中止になった。
団体追い抜きで金、1500メートルで銀、1000メートルで銅と三つのメダルを獲得した高木美帆(日体大助手)は、世界選手権(10、11日、オランダ・アムステルダム)で昨季の総合3位を上回る成績を狙う。(笠井正基、勝見壮史)