阪神先発の藤浪=恵原弘太郎撮影
(31日、巨人8―4阪神)
阪神は六回の藤浪続投が裏目に出た。試合後、金本監督は「かなり迷った」と打ち明け、自分を責めるように「判断ミスと言われても仕方がない」と言った。
重圧のかかる開幕第2戦のマウンドを任せたこと自体が大胆だった。昨季の藤浪は制球難で3勝止まり。新フォームに取り組む今季もオープン戦では荒れていた。指揮官には「チームを背負ってほしい」という思いがあった。
三回までに3四球で2失点。捕手の梅野は再三、体を張ってワンバウンドを止めたが、右打者の内角に抜ける球も目立った。それが四、五回は無四球で、走者を出しながら粘り、勝利投手の権利を得た。藤浪が口癖のように言う「試合中のフォーム修正」ができたようにも見えた。
これがベンチの判断を迷わせた。六回の攻撃では1死二塁で打席が回ったが、代打は送らなかった。その裏、藤浪は先頭の岡本に左前安打を浴びると、長野、小林に連続四球。無死満塁でマウンドを明け渡した。
「五回が良いとなって、力が入ったというか、欲が出たというか」と藤浪。突然、制球を乱すのも昨季と同じパターンで、これでは使う側も難しい。
現状で制球は大きく改善されていない。チームを背負わせるよりも、白星をつけて自信を回復させるほうが先ではないか。背番号19は内容的な収穫もつかめず、チームにとっても後味の悪い1敗になった。(伊藤雅哉)