(6日・プロ野球 楽天7-2ソフトバンク)
楽天・則本昂大が1千奪三振 史上5番目のスピード記録
楽天・則本、1千奪三振達成の理由 進化し続けた武器
通算1千奪三振の記念のプレートを掲げた楽天の則本に、笑顔はなかった。全ての意識は、5連敗中のチームに勝利をもたらすことだけに向いていた。
三回、犠飛で1点を返されなお2死一、二塁。巧打の内川を追い込むと、則本は内角へのフォークで勝負。ひざの高さからストンと落ちる得意球を振らせた。958イニングでの大台到達は、史上5番目のスピード記録だ。
追いつかれれば、チームの雰囲気が重くなりかねない場面。「三振は自分にとって一番リスクが小さいアウトの取り方。ただ、三振を奪ってもチームが負けては意味がない」と言い切る27歳にとって、理想的な三振だった。
その則本のグラブには今季、「77」が刺繡(ししゅう)されている。1月に逝去した星野仙一・元監督の背番号だ。2013年に新人だった右腕を開幕投手に起用し、その後も目を掛けてくれた恩人。共に戦う決意を、大事な道具に刻み込んだ。「今の自分があるのは星野さんのおかげ。結果を出して恩返しする」と意気込む。
1週間前の開幕戦は7回で150球を投げ1失点で、この日は8回133球で2失点。職責を果たしたエースに、不調だった打線も最多の14安打で応えた。王者ソフトバンクを投打に圧倒し、本拠で初勝利。「ここからがんがん勝てるように、チーム一丸でがんばる」。則本の言葉が頼もしい。(松沢憲司)