学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、大阪府教育庁が開示した小学校の設置認可申請書類に、学校予定地だった国有地の貸付料について「近畿財務局(近財)と交渉した」と記載されていた。財務省は国会で、土地の定期借地契約を「了承」した国有財産近畿地方審議会(2015年2月10日)の前に貸付料を示すことはないとしている。
情報公開条例に基づき、14年10月31日の設置認可申請書▽15年1月27日に府私学審議会が条件付きで「認可適当」とした際の資料――などが17日開示された。
「交渉」の記載があったのは学園側が提出した申請内容の変更届(15年12月21日)。学校設置に向けた資金計画として、貸付料(借地料)について変更前後の金額を記載。価格自体は黒塗りだったが、学園側は「申請時点では借地料が確定していなかった」として、当初は予想値を記載したとしていた。
さらに「近財の方針で、私学審で『認可適当』と認められた後に借地料の交渉に入った」と説明。「その後、近財との交渉で借地料が確定した」としている。
国有財産の審議会があったのは、私学審が条件付きで認可適当とした直後の15年2月10日。近財の方針がいつ示されたのか、交渉がいつ始まったかなどは具体的に記されていない。
貸付料をめぐっては、近財が15年1月9日に学園側を訪れ、貸付料の概算額を伝えていたほか、近財が実施した15年3月の見積もり合わせで、学園側の提示額が予定した年額約3300万円を下回り不調になったことや、その後学園側が「土地が軟弱地盤だ」と主張したことを受けて不動産鑑定をやり直し、15年5月に年額約2730万円で契約を結んだことなどが明らかになっている。
昨年3月の国会で、「私学審や国有財産の審議会で結論が出る前に学園側に賃料を示したのではないか」という議員の質問に対し、財務省の佐川宣寿・前理財局長は「国有財産の審議会の前に先方に契約上の賃料を示すことはない」と答弁。麻生太郎財務相も今年3月、「この種の交渉で事前に価格を提示するのは通常考えられない」と述べていた。(金子元希)