5・15事件と近年問題になった自衛隊員の言動
防衛省統合幕僚監部に勤務する30代の男性3等空佐が民進党の小西洋之参院議員に「国民の敵だ」と暴言を吐いたとされる問題で、小野寺五典防衛相は19日の参院外交防衛委員会で「大変不快な思いをさせてしまい改めておわび申し上げる」と陳謝した。
防衛省によると、3佐は16日夜、東京・永田町の参院議員会館前をジョギングしていて小西氏と遭遇。小西氏だと確認したうえで暴言を浴びせたとされる。小西氏によると、3佐は自衛隊員と名乗ったうえで「お前は国民の敵だ」などとののしってきたという。
3佐の暴言が明らかになった17日、小野寺氏は報道陣に「若い隊員なので様々な思いもある」と3佐を擁護したともとれる発言をし、野党側が反発していた。小野寺氏は19日の委員会で「自衛官にも憲法で保障された内心の自由は認められるが、今回のような不適切な発言は決して認められない」と強調。「不適切な発言をした者を擁護するつもりはない。厳正に対処する」と釈明した。
防衛省は3佐からの聞き取りを続けている。自衛官トップの河野克俊統合幕僚長は19日、会見で「(3佐の言動は)非常に不適切。いかなる理由があろうと国会議員にあのような暴言を吐くことは許されない」と述べた。一方、3佐の具体的な発言内容について「最低限、暴言ととられる発言があったのは事実」と認めつつ、「国民の敵だ」と言ったかどうかは「小西氏がそう言われているのは重々承知しているが、調査の過程。コメントを控えたい」と述べるにとどめた。
防衛省は、3佐の言動が自衛隊員の品位の保持や政治的行為の制限などを定めた自衛隊法に違反する疑いがあるとみて、懲戒処分を検討している。(編集委員・土居貴輝、古城博隆)
■敵意が首相に向かう可…