アルマ望遠鏡が観測した132・8億光年かなたにある銀河の画像(拡大部分)。緑色は酸素の分布を表す。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した周辺画像と合成した(国立天文台提供)
地球から132・8億光年かなたにある銀河で酸素を見つけたと、大阪産業大や国立天文台などの国際チームが16日、発表した。南米・チリにある電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」を使った観測で突き止めた。酸素の存在は、星の誕生や消滅があったことを示しており、宇宙の誕生初期に銀河がどのように形成されたかを示す貴重な発見という。論文は英科学誌ネイチャーに掲載される。
宇宙・天文
大阪産業大の橋本拓也博士研究員(銀河天文学)らは2016~17年、しし座の方向にある銀河「MACS1149―JD1」をアルマ望遠鏡で観測し、酸素が出す特定の波長の光をとらえた。分析の結果、この銀河までの距離は132・8億光年で、酸素が見つかった銀河としては最も遠いことが判明した。
今から約138億年前に宇宙が誕生して間もない頃は、宇宙空間には軽い元素である水素やヘリウムばかりが存在していたが、星の誕生と消滅を経て酸素など様々な元素が作られたとされる。観測結果は、宇宙誕生から5億年余り後の時期には、すでに酸素が存在していたことを示している。
最初の銀河がいつどのように誕生したかはよく分かっていないが、今回観測した銀河では、宇宙誕生から2・5億年後には活発な星の形成が始まっていたと考えられるという。
橋本さんは「今回の観測データは、生命の存在そのものを示す証拠にはならない。ただ、私たちが生きる上で必要な酸素が、宇宙誕生の初期からあったことは驚きだ」と話す。(石倉徹也)