東日本大震災の被災地に派遣され、急死した大阪府富田林保健所職員の男性(当時49)の遺族が、地方公務員災害補償基金に公務災害(労災)と認めるよう求めた訴訟の判決が6日、大阪地裁であった。内藤裕之裁判長は「業務と疾病に相当の因果関係があるとは認められない」として請求を棄却した。
判決によると、男性は保健所で運転手をしており、震災後、岩手県宮古市などの避難所を巡回する保健師らのチームの運転手として現地入りした。2011年4月3~7日のあと、5月12~16日の予定で派遣されたが、14日夜に滞在先のホテルで激しい頭痛を訴え、搬送先の病院で脳出血と診断され、20日に死亡した。妻は同基金大阪府支部に労災申請したが、12年8月に公務外と認定された。
判決は、運転は1日最長3時間ほどで、過酷な勤務とは認めがたいと指摘。高血圧の傾向や飲酒歴も踏まえ、派遣先での業務が著しく病状を悪化させるものではなかったと結論付けた。
判決後、妻は会見し、「現地は悲惨な状況だったようで、責任感の強い夫は悩みながらも被災地に2回行った。通常業務では決してなかったはずで、とても残念な判決」と話した。