フランス人の家族は、豚肉代わりに油揚げを使う「ベジ玉」を楽しんでいた=大阪市西成区、高橋一徳撮影
「日本一のレストラン」が大阪市西成区にあるという。大阪で生まれ育ち、仕事をしてきた記者にとっても驚きの情報。早速確かめようと店をたずねた。客の9割が外国人というその店の名は、いかにも古風な「お好み焼き ちとせ」。一体何が、日本一なのか。
通天閣がそびえる「新世界」から南へ抜ける商店街の路地裏に、店はあった。古ぼけたビニールの赤いひさしに紫ののれん。「昭和」としかいいようのないたたずまいだが、その客層に目を見張った。並んでいたのは、15人ほどの外国人たちだった。
午後0時半。開店と同時にカウンター4席とテーブル二つの8坪の店は満席に。メニューは英語で、豚玉は「pork」。焼きそばは「fried noodles」。「mix」を注文した一番乗りのタイ人女性(28)は「辛くて甘くて酸っぱい。色んな味がして面白い」と言う。
「面白い味」を確かめようと、記者も食べてみた。何と生地にパイン。ソースとの組み合わせに不安がよぎるが、酸味が後味をさわやかにするという、日本人にはびっくりの味。豚肉代わりに油揚げを使うベジタリアン向けのメニューも。ピーナツやキュウリの漬物をたっぷり入れ、カリカリとした食感が楽しめる。
店主の前田秀基さん(64)は「亡くなった母が今の店の雰囲気を見たら、腰を抜かしますよ」と笑う。
母のアキさんが開業したのは1…