能勢人形浄瑠璃のイメージを萌えキャラ化した、太夫の「お浄」こと西能浄(左)と、三味線の「るりりん」こと木勢るり(浄るりシアター提供)
萌(も)えキャラが人形浄瑠璃の人形に? 大阪府最北端の能勢町に続く「能勢人形浄瑠璃」に、一風変わった人形が初お目見えする。地域住民による劇団「鹿角(ろっかく)座」の公演で23、24日にデビューする。
能勢では200年以上前から、人形を使わず語りと三味線だけで上演する素浄瑠璃が受け継がれている。1998年に人形と囃子(はやし、笛や鼓などの楽器)を加えて能勢人形浄瑠璃をつくると、その後はSFの新作を上演したり、演出に照明を駆使したりと、趣向を凝らした公演をするようになった。
今回、人形が作られる2人の萌えキャラは公募を経て、2014年に生まれた。1人は「お浄(じょう)」こと西能浄(にしのきよ)。セリフや情景描写を語る太夫で、キリッとした眉毛がチャームポイントだ。もう1人は「るりりん」こと三味線の木勢(きせ)るり。2人は浄瑠璃のPR役だが、15年には町の公認キャラにも就任。町内のイベントや観光スポットに出没し、鹿角座の公演には過去2回、映像で出演した。
人形は未完成だが「鼻と口、あごのラインは人形浄瑠璃らしく。でも、萌えキャラとして目元にはこだわった」と、企画した浄るりシアターの松田正弘館長。文楽の人形は「ザ・日本人形」といった顔立ちだが、2人の瞳はフランス人形より一回りも大きく、るりりんの髪は赤い。2人の髪は大阪・日本橋で見つけたコスプレ用のカツラを使っているという。
ちなみに、文楽の女形の人形には足がなく、着物の裾を動かして歩いているように見せる。るりりんのプロフィルを見ると、「チャームポイントは美脚」とあるが、はたして……。
公演は23、24日午後2時、能勢町の浄るりシアター(072・734・3241)。監修は文楽の故竹本住太夫と人形遣いの吉田簑助。演出・振り付けは桐竹勘十郎。前売り一般2500円など。(岡田慶子)