(26日、高校野球西千葉大会決勝 中央学院6―2東京学館浦安)
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復活のアーチだった。同点の四回1死、中央学院の4番大谷拓海(3年)が初球を振り抜く。内寄りの96キロのスローカーブを、右翼ポール際にたたき込んだ。勝ち越し弾の感触を握りしめるように、一塁側の応援席に右拳を掲げた。
投打の核としてチームを引っ張る「千葉の二刀流・大谷」にとって、苦しい中で迎えた大会だった。5月下旬、練習試合で鋭い打球を右側頭部に受け、脳挫傷などと診断されて1週間ほど入院。医師からは退院後も安静を命じられ、約1カ月間野球から離れた。「責任を感じた」と振り返る。
大会直前に復帰したが、調子は戻らない。「けがの前はバットを振れば球に当たる感じだったのに、振っても当たらなくなった」。朝練前の自主練習で、ボールを芯で捉える練習をひたすら繰り返したという。
今大会は準決勝まで11打数2安打、打率1割8分2厘ともがいた。だが、この日は違った。4番右翼で出場、一回2死二塁で先制の適時打を放つと、四回に勝ち越しソロ。2安打2打点の活躍に加え、右翼の守備でも七回、右中間への打球を好捕。初優勝のキーマンの一人となり、相馬幸樹監督は「しびれた。持っている選手だな、と。やっぱり大谷は不可欠」。
大谷には、甲子園に苦い記憶がある。今春の選抜初戦、明徳義塾(高知)にサヨナラ3ランを浴びて敗れた。今大会は故障明けとあって2試合、わずか6回3分の2の登板にとどまったが、投手としてのプライドがうずく。「甲子園で先発したい気持ちはあります」と大谷。借りを返しに、完全復活して甲子園に戻る。(吉永岳央)