労働組合の中央組織・連合が、組合費の徴収方法の変更を検討していることがわかった。現在は都道府県ごとに違う地方会費を統一し、組合員数の減少が見込まれる地方組織の収入を安定させて存続につなげる考えだ。ただ、都市部などの地方会費が低い組合員は値上げとなる。来月中の決定を目指し、来年秋にも変更する。
連合の組合員数は約700万人。組合費には本部に払う本部会費と、都道府県ごとに地方組織に運営費として払う地方会費があり、毎月の給料から天引きされる。本部会費は一律で原則月95円の一方、地方会費は月75~150円と差がある。組合員の多い地域は財政に比較的余裕があるため、低くなる傾向にある。
検討中の案では、この地方会費を全国平均の月110円程度にそろえた上で、本部が一括して集めて地方に配分する。会費が高い北海道などの組合員は値下げになる一方、会費が低い東京都の組合員などは負担増となる。連合関係者は「組合員数が多い東京を含めて値上げしていければ、人口減で組合員が減った地方組織の運営費を将来的にもカバーできる」と説明する。
ただ、「値上げを伴う変更は簡単には受け入れられない」(傘下の労組幹部)との反発もある。このため、内部で詰めの協議を進めている。
この組合費の変更は、来年秋の結成30年に向けて検討している組織の見直し案に盛り込まれた。見直し案では、財政難の中、活動分野に強弱をつけるとも明記した。現行の7分野のうち、今後は「組織拡大」「政策実現」「男女平等参画」に力を入れ、「平和活動」や「政治活動」などとは差をつける。
産業別労働組合(産別)が集まって構成されている連合のあり方にも言及。「新たな加盟形態」を創設する。中小の労組が既存の産別に入らなくても連合に正式加盟できるようにし、組合員の増加につなげる。
上智大の中野晃一教授(政治学)は、働き手の8割以上が労組に入っていない現状を踏まえ「財政が厳しい中での組織の見直しは縮小均衡に陥りがちだ。労組に入っていない人たちを含めた存在感の向上策を考えるべきではないか」と指摘する。(土屋亮)