カイシャで生きる 第4話■
中小企業の経営者は、左遷についてどう考えているのだろうか。
グループの従業員が約200人で、機械部品加工などを手がける太陽パーツ(堺市)。社長の城岡陽志(しろおかきよし)さん(69)は「左遷しても大企業は代わりの人材がいるでしょう。我々が失敗のたびに左遷したら、誰もいなくなってしまう」と笑った。
社長から営業本部長に降格 「チャンスじゃないか」
コネ・告げ口・すり寄り 外資系のしんどすぎる出世競争
私大卒に「よく入れたねえ」 官僚たちの出世レース
失敗を恐れずに挑戦する気風をどう作るか。そんな思いから、1998年に創設したのが「大失敗賞」だった。
第1号の受賞者は、篠川秀樹さん(54)。カー用品を製造販売する新規事業に挑戦した。半年経つと量販店から返品が相次ぎ、約5千万円の損失を出した。売れないと商品が返品される仕組みを理解していなかった。
篠川さんは落ち込んだ。一緒に仕事をした同僚は、もっと落ち込んだ。社内の雰囲気も暗くなっていた。
区切りをつける必要があった。…