世界最大のコーヒーチェーン「スターバックス」のイタリア1号店が7日朝(日本時間同日午後)、ミラノにオープンした。バールと呼ばれる喫茶店で濃いエスプレッソコーヒーを飲む文化が根付くイタリアで、世界78カ国に約2万8千店を展開する米大手チェーンが受け入れられるのか。市民の間では賛否両論の意見があるようだ。
場所はミラノ中心部の大聖堂近くで、開店前に約50人の客が並んだ。午前9時の開店と同時に、ハワード・シュルツ名誉会長が店の入り口を開け、店員が拍手で客を迎え入れた。自家焙煎(ばいせん)による希少なコーヒーを用意し、ミラノのパン店と提携した軽食を提供するなど、コーヒー文化の本場を意識している。
スターバックスにとってイタリアは、シュルツ氏が1983年に訪れたことを機に米国へエスプレッソ文化を持ち込み、後に世界的チェーンとなるきっかけとなった国だ。シュルツ氏は6日、「ミラノでの出店で、スターバックスの歴史は原点に返ってきた」とコメントした。
現地の一部メディアは「米大手チェーンの侵略だ」と報じたが、ミラノ市民の受け止めは様々だ。
バールで友人と過ごしていた大学生ダミアーナ・トルトネーゼさん(24)は「米国のコーヒー文化を経験するのは楽しみ。ただ、おいしいコーヒーを飲みたい時はいつものバールに行く」と話した。別のバール店員ブルーノ・デグランディさん(45)は「イタリアでも、紙のカップを外に持ち歩く文化が広がってきた。客が取られないか心配だが、視野を広げるためにも行ってみたい」と語った。(ミラノ=河原田慎一)