東京都は11日、開場を1カ月後に控えた豊洲市場(東京都江東区)で、建物と地面の接点部分に幅約10メートル、段差約5センチのひび割れが見つかったと発表した。盛り土部分の地盤沈下が原因という。昨秋にひび割れは確認されていたが、「市場の使用に問題はない」として公表していなかった。都は緊急補修を行う予定だが、「開場に影響はない」と説明している。
都によると、ひび割れが見つかったのは水産仲卸売場棟西側のトラックなどの荷物の積み込み場。建物周囲だけ土壌汚染対策として盛り土がされ、周囲の地面が徐々に沈んで建物と路面に亀裂ができたという。都は建物に傾きがみられず、使用に問題ないとしている。
都は「盛り土部分の沈下は当初から想定していた」と説明。昨秋にひび割れを確認したが、この箇所はトラックなどが上を通らないほか、沈下の影響を見定めるとして、補修は開業後の予定としていた。しかし、今月8日に仲卸業者がひび割れを見つけて問題視。都は11日に「あらかじめ報告すべきだった」と業者側に謝罪した。
豊洲市場は前日の10日に、農林水産相が開設を認可したばかりだった。都の担当者は「業者らへの配慮が足りず申し訳ない」と語った。(西村奈緒美)