報道機関の記事をネット上で利用する大手サイト運営者に対価の支払いを義務づける法案を欧州連合(EU)の欧州議会が12日、賛成多数で可決した。ネット上の記事や映像などについて、著作者の権利を強めるのが狙いで、IT企業などは「表現の自由を脅かす」などと反対していた。
可決されたのは著作権法にあたる「著作権指令」の改正案。報道機関の記事をネット上で利用した際、原則として対価の支払いを義務づける。検索サイトでの記事の抜粋の表示が対象になる可能性が高い。そのほか、ツイッターやYouTubeといった投稿サイトの運営企業に、著作権侵害がないか確認する責任を負わせている。
法案について、通信社や音楽家などは「ネット企業は著作者に利益を還元すべきだ」などと主張。これに対し、ネット利用者などからは「ネット上で自由な表現ができなくなる」「検閲につながる」などと批判の声が上がっていた。
改正案は7月に欧州議会の採決でいったん否決され、一部が修正されていた。この日は賛成が438票、反対が226票。今後、導入に向け加盟国でつくる理事会や欧州委員会でも議論される。(ブリュッセル=津阪直樹)