ラグビーのトップリーグ(朝日新聞社後援)は14日、第3節の1試合があり、神戸製鋼が、3連覇をめざすサントリーを36―20で破った。神鋼に新加入した元ニュージーランド代表のSOダン・カーターがリーグ初出場を果たし、1トライ2ゴール4PGで計21点を挙げる活躍を見せた。
「80分、理想的なプレ-続ける」 神戸製鋼のカーター
基本プレーを怠らない
2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会で2連覇に貢献したニュージーランドの英雄は特別な魔法を持たない。神戸製鋼のSOカーターのプレーはシンプルで、ほれぼれするほど正確だ。
象徴は前半22分のトライだ。あまりスペースがない右サイドで球を受けた。タックルに来る相手をぎりぎりまで引きつけて右にパスした。味方がもう一つ球をつないでWTB山下が右のタッチライン際を疾走すると、しっかりその内側を走ってサポート。最後は球をもらってインゴール右に飛び込んだ。基本プレーを怠らない勤勉さだ。
36歳。華麗なステップや驚く快足はない。ただ攻勢の時はリズムよく球を手放して流れを作る。攻守が同数の厳しい局面でも、わずかなすき間を突いて相手数人を引き寄せて手首を使って味方に短いパス。一転して有利な状況を作り出す。
新しい国、チームで「自分のプレーを見せ、周囲からリスペクトを得る」と目標設定していた。そして確実に証明した。国際統括団体「ワールドラグビー」の年間最優秀選手に3度輝いたスターは競技を知りつくし、基本を究極に磨き上げた選手だということを。(有田憲一)