東京・丸の内の高層ビル。見晴らしのいい29階に勤める入社5年目の生保マン、加納遼大(27)は、7人制ラグビー日本代表という別の顔を持つ。フルタイムで働きながら代表入りを果たし、そして今、「遠い世界」だと思っていた東京五輪にも近づきつつある。
「最近は大学生の採用面接もやっています」。勤務先は生命保険大手・明治安田生命の人事部人事サービスグループ。シュッとしたジャケット姿からは、フィールドを荒々しく駆け回る戦士の顔は想像できない。
同社には「ホーリーズ」が愛称のラグビー部がある。1930年に設立された伝統ある実業団チームだが、現在はトップリーグ、トップチャレンジリーグに続く、トップイーストリーグが主戦場。社会人ラグビーの「3部」に相当する。チームにプロ選手はいない。全員が集まる練習は土、日だけ。ラグビーに専念できるトップリーグとは違う環境のなかで、加納の運命はがらっと変わった。
地元のラグビー教室に3歳で通…