堀篭俊材の波聞風問
プレゼンは苦手。上司との関係もいまひとつ。30歳を過ぎてもヒラ社員の自分は「サラリーマン社会の底辺にいた」。加藤こういちさん(33)は、一度転職した8年間の会社員人生をふり返る。
昨夏に脱サラし、いまはウェブマーケティングを支援するスキル(技術)で稼ぐ。個人が個人に特技や知識をネットで提供するスキルシェアの世界では達人である。1日4時間働き、月収は以前と遜色ない40万円ほどという。
「シェアワーカー」と呼ばれる加藤さんは、ネット社会が可能にしたフリーランスといえる。新卒一括採用をふりだしに、終身雇用や年功型賃金という決められたコースにコマをすすめる。定年退職であがり、老後は年金暮らし。そんなかつての「昭和すごろく」では想定外の存在だ。
毎春桜の咲くころ、一斉に大学…