世界女王に勝つには、まずは知ることから――。今夏のジャカルタ・アジア大会で最優秀選手に輝いた競泳女子の池江璃花子(ルネサンス)が15日からトルコに渡り、リオデジャネイロ五輪金メダルのサラ・ショーストロム(スウェーデン)と合同で約2週間練習する。短距離で四つの世界記録を持つライバルにどこまで近づけるか。
「正直、楽しみ半分、不安半分ですね」
今季初レースとなった7日の静岡での大会後、18歳の池江は思いを語った。
25歳のショーストロムは50メートル、100メートルの自由形とバタフライで世界記録を持つ。181センチ、70キロ。池江を身長で10センチ、体重で10キロ上回るパワーを生かして泳ぐ。池江を指導する三木二郎コーチが英国留学中に築いた人脈を利用して、合同練習が決まった。
池江が最も得意とする女子100メートルバタフライでも、まだ差はある。8月のパンパシフィック選手権(東京)で池江がマークした56秒08は、ショーストロムがリオ五輪で出した世界記録とは0秒60差だった。体作りの効果もあり、課題としてきた前半50メートルのタイムが上がってきているものの、ショーストロムは昨年の世界選手権も55秒53で泳いでおり、勝負するには55秒台を出す必要がありそうだ。
「最強女王」との練習では力の差を見せつけられるリスクもあるが、三木コーチは「水泳に対する姿勢、練習法を学べる良い機会。五輪2年前の今しかできない」。池江はメダルなしに終わった昨年の世界選手権後、豪州で武者修行して「意外とやれる」と感じたように、三木コーチは「逆に勝てる部分もあると思う。それが見えれば、自信になる」。
今年に入ってから「目標はサラ選手」と公言してきた池江は「彼女がどうやってあそこまで上り詰めたのか研究して、少しでも自分のモノにしたい」と前向きだ。(照屋健)
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池江の日本記録とショーストロムの世界記録の比較
・100メートルバタフライ(カッコ内は50メートル地点タイム)
池江 56秒08(25秒89)=18年パンパシ
ショーストロム 55秒48(26秒01)=16年リオ五輪
・100メートル自由形
池江 53秒03(26秒09)=18年日本選手権
ショーストロム 51秒71(24秒83)=17年世界選手権
・50メートル自由形
池江 24秒21=18年日本選手権
ショーストロム 23秒67=17年世界選手権
・50メートルバタフライ
池江 25秒11=18年欧州GP
ショーストロム 24秒43=14年スウェーデン選手権