英ソールズベリーでロシアの元スパイらが神経剤で意識不明になった事件で、英国の調査報道機関「ベリングキャット」は8日、英捜査当局が映像を公開した容疑者2人のうち、「アレクサンドル・ペトロフ」名のパスポートで英国入りした人物は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の医師だとする調査結果を公開した。
ベリングキャットによると、本名は「アレクサンドル・ミシュキン」で、知人の証言や、2001年にサンクトペテルブルクで発行されたパスポートのコピーなどから特定したという。医学生時代にGRUに採用された後、偽名のパスポートを与えられ、ウクライナにも複数回渡航していた。
英検察は容疑者の2人が今年3月、GRUの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏を殺害しようとしてソールズベリーにある同氏の自宅のドアに神経剤ノビチョクを仕込んだとみている。2人が入国時に使ったパスポートの名前は「偽名の可能性が高い」としていた。
一方、容疑者2人はロシアの国営テレビに出演し、自分たちは一般市民でソールズベリーには観光に行っただけだと主張し、情報機関との関わりや事件への関与を全面否定していた。(ロンドン=下司佳代子)