ブルガリアの検察当局は7日、地元テレビ局に勤務するビクトリア・マリノバさん(30)が性的暴行を受けて殺害されたと発表した。マリノバさんが司会を務める番組では欧州連合(EU)の開発資金に絡む不正疑惑を取り上げており、事件との関連を捜査するよう求める声が内外で上がっている。
現地メディアによると、6日、同国北部ルセのドナウ川沿いの公園で、マリノバさんの遺体が見つかった。捜査当局によると、マリノバさんは性的暴行をされた上、激しく殴られたことによる出血がのどに詰まって死亡したとみられるという。また、所持品の一部も奪われていた。
マリノバさんが司会を務める番組は9月30日、EU資金に絡む不正疑惑を追う2人のジャーナリストを取り上げていた。欧州安保協力機構(OSCE)の報道の自由担当者は7日、捜査を注視するとしたうえで、「当局は殺害が彼女の仕事に関係するのか、はっきりさせるべきだ」と述べた。
ブルガリアはEU加盟国の中でも汚職が目立ち、EUの行政機能を担う欧州委員会から対策の遅れを指摘されている。(ウィーン=吉武祐)