iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って病気の状態を再現し、薬の候補を探す「創薬」により、パーキンソン病の既存薬が筋萎縮性側索硬化症(ALS)に効くことを、慶応大などのチームが発見した。13日、東京都内であった再生医療のシンポジウムで、同大の岡野栄之教授が公表した。将来的には患者の治療への活用が期待される。
ALSは進行性の難病。筋肉を動かし、運動をつかさどる神経が障害を受けて、呼吸や手足などの筋肉が次第に動かなくなる。国内に9千人あまりの患者がいるとされる。進行を遅らせる薬はあるが、治療法は確立していない。
岡野教授らのチームは、血縁者に患者がいる家族性ALSの患者から採取した細胞から作ったiPS細胞で、病気の状態を再現。約1230種の薬を試し、パーキンソン病の既存薬のロピニロール塩酸塩で効果を発見した。血縁者に患者がいない孤発性ALSの患者から採取した細胞から作ったiPS細胞でも試し、22タイプの孤発性ALSのうち約7割にあたる16タイプで効果を確認した。
ALSの原因は不明だが、患者…