明治神宮大会は11日、高校の部の準々決勝があり、初出場の札幌大谷(北海道)が国士舘(東京)を7―3で破り、4強進出を決めた。「出場が決まった時点では一番弱いと思っていた。まさか勝てるとは」と船尾隆広監督も驚く快進撃。この日は1年生の投手が支えた。
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この日の先発は1回戦で先発した西原健太(2年)でも、2番手の太田流星(2年)でもなく、1年生の長身左腕、阿部剣友だった。
この秋は、北海道大会につながるブロック予選にしか登板していないが、196センチの左腕はマウンドに立つとひときわ大きく見えた。3点のリードをもらってマウンドへ。「めっちゃ緊張しました」。制球を乱して2四球を与えながら、角度のある球で無失点でしのいだ。
すると、船尾監督は二回から、阿部に代えて増田大貴(1年)を登板させた。こちらも道大会での経験がない右腕。「道大会は投げていなくて悔しかった。先輩たちを少しでも休ませようと思った」と増田。130キロに届かない直球に遅いカーブでうまく緩急をつけ、八回まで1失点で粘った。
6点リードの九回、増田は4安打を浴びて2失点し、マウンドを太田に譲った。それでも、十分に責任を果たした。「勝つために後半は西原、太田をつぎ込むつもりだった。一つでも多くアウトをとってくれれば」と起用した監督にとっても、うれしい誤算。若い投手に経験を積ませることができた全国2勝目の価値は大きい。(小俣勇貴)