スポーツクライミングのアジア選手権は11日、鳥取県倉吉市で、スピード、ボルダリング、リードの3種目の総合ポイントを争う五輪実施種目の「複合」があり、女子は日本勢が表彰台を独占。野口啓代(あきよ、TEAM au)が優勝し、野中生萌(みほう、同)が2位、伊藤ふたば(同)が3位に入った。
最終の第3種目のリードで、高さ14メートルの壁をただ1人登り切った。ゴールにたどり着くと、握った両手の拳で何度も激しくガッツポーズ。「この優勝を一番の目標にしてきた」。8月のアジア大会に続く「アジア2冠」に、野口の笑顔がはじけた。
この日はスピードで4位、ボルダリングで1位。2種目を終えた段階で総合2位だった。だが、29歳はここで慌てない。理由がある。世界選手権など過去3度挑戦した複合の大会では「いつもヘトヘトになってしまって、最後のリードは全然良い登りができなかった」。だから、今大会に向けてはリードに特化した練習を積んできたという。
この日は、疲労がある中でも危なげなく頂上に到達。狙い通りの逆転優勝だった。貫禄の1位だったボルダリングは、元々ワールドカップ年間優勝4度を誇る得意種目。その上で、さらにリードでも強さを示した意味は大きい。
今回の優勝で、五輪切符がかかる来年8月の世界選手権への優先出場権を獲得した。最終目標は、もちろん2020年東京五輪。「世界選手権を良い位置で突破して、2年後にピークが来るようにしたい」。大舞台への道のりが、少しずつ輪郭を帯びてきた。(吉永岳央)