京都府宇治市の宇治川で11日、ウミウに綱をつけずに魚を捕らせる放ち鵜飼(うか)いが披露された。国内の放ち鵜飼いは島根県益田市で2001年に途絶えており、17年ぶりの「復活」となった。宇治川では初めてという。
4年前、宇治市観光協会が主催する「宇治川の鵜飼(うかい)」のウミウから国内初の人工孵化(ふか)でひなが誕生。昨年までに計9羽が育ち、「ウッティー」という愛称で呼ばれている。協会は、人工孵化のウミウを使い、放ち鵜飼いの訓練を重ねてきた。
この日は、2年後の本格実施に向け、クラウドファンディングの出資者15人を招いた内覧会を開き、訓練の成果を披露した。9羽のうち5羽が綱をつけずに川に放たれ、鵜匠(うしょう)の呼び声だけで、投げ込まれた魚でのどをいっぱいにして岸に戻る姿に拍手が送られた。
中国の鵜飼いに詳しい国立民族学博物館の卯田宗平准教授は「人工孵化のウミウをならし、呼べば戻るように飼育するというのは、おそらく世界でも例がない。新しい物語が始まったという印象」と話している。(小山琢)