英国のメイ首相は26日、欧州連合(EU)からの離脱条件などを定めたEUとの協定について、12月11日に英議会で採決が行われる予定を明らかにした。与野党内には協定を批判する声が根強く、議会で過半数の支持を得られる見通しは立っていない。否決されれば、経済や社会に混乱を及ぼす「無秩序な離脱」となるおそれが高まる。
離脱協定は25日のEU首脳会議で英国とEUが合意した。協定の成立には英国とEUの双方で議会の承認を得る必要がある。英議会では来週から5日間ほど審議して、採決に入る見通しだ。
協定には離脱後もEUルールを受け入れる移行期間の延長などが盛り込まれており、「主権の回復」を求める与党・保守党の強硬離脱派から反発の声が上がっているほか、国民投票の再実施を求める与野党の親EU派も反対に回る可能性がある。メイ首相は26日の議会で「(否決は)さらなる分断や不透明さを招くことになる」と述べ、反対派を牽制(けんせい)した。(ロンドン=寺西和男)