ドイツ与党キリスト教民主同盟(CDU)は7日、党首の辞任を表明したメルケル首相の後任を選ぶ選挙を行い、党幹事長のクランプカレンバウアー氏(56)を次期党首に選んだ。メルケル氏の首相任期は2021年までだが、「首相と党首の兼務」を持論としており、任期満了を待たずに新党首に首相ポストを譲る可能性もある。
党首選にはほかに、元党院内総務(議員団長)のメルツ氏(63)、保健相のシュパーン氏(38)が立候補。党の各支部から選ばれた約1千人の代議員が投票した。CDUではこれまで、候補者が事前に一本化されるケースがほとんどで、党首が選挙で決まるのは1971年以来。
クランプカレンバウアー氏はメルケル氏の信頼が厚く、冷静な話しぶりも似ていることから「ミニメルケル」と称される。11年に女性として初めてザールラント州の州首相となった。17年の州議会選挙でCDUを圧勝に導き、今年2月に自ら志願して幹事長に就いた。
ただ、党内リベラル派のメルケル氏と異なり、社会政策は中道保守の路線を主張している。「キリスト教的価値観」を前面に打ち出し、同性婚や医療機関による中絶広告の解禁に強く反対。「社会に一体感を取り戻す」として、メルケル氏が廃止した徴兵制や義務的な社会奉仕活動の導入に意欲を示す。
また、難民の受け入れについても厳格化を求めており、選挙期間中に「罪を犯したものは二度と入国させない」などと発言。滞在資格がないと判断した人々の早期送還を進める意向だ。一方、経済政策では「労働者に報いる年金制度の確立」を唱えるなどリベラル路線をとる。
当面の課題は、対立が表面化し…