サッカー・明治安田生命JリーグのJ1参入プレーオフは8日、ヤマハスタジアムで決定戦があり、J1・16位の磐田が東京ヴに快勝し、J1残留を決めた。J2・6位からトーナメントを勝ち上がった東京ヴは2008年以来のJ1復帰を目指したが、届かなかった。磐田は前半41分、FW小川航基がPKを決めて先制。後半35分にもMF田口泰士の直接FKが決まり、逃げ切った。今季からJ1の自動降格枠が2枠になり、J1・16位はJ2とのJ1参入プレーオフに参加する方式となった。
磐田が得たペナルティーアーク脇のFK。「チーム全員で必ず残留を決める」。右利きの田口が思いを込めて蹴った球は、敵7人の壁を抜けてゴール左に刺さった。J1の技術力を示す鮮やかな弾道だった。
この時点で残り時間は10分。磐田は3失点以上しなければ、J1に踏みとどまれる安全圏に入った。
結果以上に力の差を見せつけた。前線から圧をかけ、球を奪ったらひるまず攻める。名波監督が掲げる本来の姿で、敵将のロティーナ監督に「カテゴリーの違い。1部で戦っている選手との差、ホームの優位性が出た」といわしめた。
1日のJ1最終節。引き分けで残留を果たせた磐田は、試合終了間際のオウンゴールで敗れて16位に転落した。直後、得点源の川又、司令塔の中村が負傷する不運にも見舞われた。だが、引きずらなかった。
序盤から故障者が相次ぎ、勝ち点を積めなかった今季。名波監督は「16位になることも考えていた。エクストラのこの1試合は想定内だった」という。登録外のメンバーも含めて一丸となって、連日の非公開練習に取り組み、独特な雰囲気の参入戦を迎えられた。
1週間前にオウンゴールを記録した主将の大井は誓った。「来年、またJ1で戦える。今日以上に気持ちの入ったプレーを見せ、今年の借りを返したい」(富山正浩)
○名波監督(磐) 「負けたら間違いなく辞めるつもりだった。ここに至った責任は僕にある。迷惑をかけるかもしれないが(進退について考える)時間が欲しい」
○中村(磐) 「ここまで来てしまった力の無さを反省しないといけない。この経験を生かさないと来年は厳しくなる」
○小川航(磐) PKで先制点。「倒れた後に『おまえが行くのか』と味方に聞かれたので、『行きます』と蹴った」
○山田(磐) 「いつも矢面に立ってくれる名波さんのためにも、と選手は一丸になった。これまでの蓄積を出せた」
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東京ヴは力見せられず
試合全体で東京ヴのシュートはわずか2本。前半は1本も打てなかった。「いつもはできるのに、自分たちのサッカーを出せなかったのは力のなさ」と東京ヴのMF井上潮音は肩を落とす。試合序盤から終了間際まで途切れない磐田のプレス。「味わったことのないプレスの質、継続」とGK上福元直人が振り返るなどJ1の力を見せつけられた。