英国の欧州連合(EU)からの離脱の条件を定めた協定案について、英国のメイ首相は17日、英議会の承認を求める採決を来年1月中旬に行う意向を示した。協定案には与党・保守党内でも反発が強く、大差での否決の見通しが濃厚となったため今月11日に予定された採決を延期していた。
英議会は今年は20日までで、来年1月7日に再開する。メイ氏は協定案について、年明けに改めて審議し、14日からの週に採決する考えを示した。
英国とEUが11月に合意した協定案には、英領北アイルランドと地続きのアイルランドとの間で人や物の自由な行き来を続けるため、解決策がない限り英国全体がEUの関税ルールに従い続けるという「非常措置」が盛り込まれた。
これにEUからの「主権回復」を重視する保守党の強硬離脱派が「永久にEUルールに縛られる」などと反発。メイ氏は非常措置の期間を区切るなどの「保証」をEUから得たい考えで、13、14日のEU首脳会議ではEU側から思うような譲歩は引き出せなかったが、協議を続ける姿勢だ。
一方、最大野党・労働党のコービン党首は17日、協定案の採決延期を不服としてメイ首相への不信任案を英議会に提出した。ただ、政権全体への不信任案と違い法的拘束力がなく、可決されても解散総選挙には必ずしもつながらない。英メディアによると、保守党で12日にあった党首メイ氏への不信任を求める投票で、不信任票を投じた強硬離脱派も、労働党には協力しない姿勢。可決の見込みは低く政権側も審議や採決に応じない意向とみられる。(ロンドン=下司佳代子)