ロシアの国家ぐるみによるドーピング問題で、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のユーリ・ガヌス事務局長が27日、一日も早くモスクワの検査所に保管されている検体データを世界反ドーピング機関(WADA)に提供するようプーチン大統領に訴えた。RUSADAのホームページで公開した。
ガヌス氏は「ロシアの反ドーピングの核であるRUSADAの資格停止はロシアスポーツ界の孤立を招く」とし、「我々はどん底の瀬戸際にあり、スポーツの潔白さ、アスリートの現在と未来を守ってほしい」と語った。同問題に関する大統領への直訴は異例。
WADAは9月、年内にデータがロシア側から提供されることを条件にRUSADAの資格停止処分を解除。今月、検査所に立ち入り検査をした。しかし、データ抽出の使用機器に同国の法的認証がなかったとの理由で入手を完了できなかったという。このままでは、RUSADAを再び資格停止にする可能性が大きい。
WADAの代表団は来年1月中旬、コンプライアンス(法令順守)審査委員会に報告書を出す。それを踏まえて、WADA理事会がRUSADAの処遇を決める方針でいる。(ロンドン=稲垣康介)