欧州連合(EU)からの離脱を3月末に控える英国の議会下院は8日、EUとの協定なしに離脱する「合意なし離脱」に関する政府の対応を制限する財政法修正案を賛成多数で可決した。離脱に対する議員の考え方は割れているが、市民生活の混乱が予想される「合意なし離脱」を避けたい意向の議員が多数いることが明らかになり、離脱の行方は不透明なままだ。
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修正案は、最大野党・労働党のクーパー議員や与党・保守党議員のモーガン元教育相らが提出した。「合意なし離脱」に伴って必要になる課税制度などの変更をしにくくする内容で、メイ政権の手足を縛るものだ。労働党だけでなく保守党からも多数の親EU議員らが賛成に回った。
英議会は9日から、離脱の条件などを定めた協定案の審議を再開する。協定案には与野党から反発が強く、メイ首相は大差での否決を回避するため、昨年12月の採決をいったん延期した。今月15日に採決する予定だが、承認の見通しは立っていない。否決されれば、合意なし離脱が現実味を帯びる。(ロンドン=下司佳代子)