政府が全額出資する日本貿易保険(NEXI)の元顧問の男性が、入札で特定の業者に便宜を図っていたことが分かった。業者側から男性への謝礼の支払いは確認できなかったが、NEXIは男性との契約を解除したうえで、23日付で板東一彦社長を6カ月の減俸(10%)処分とした。
NEXIは、企業の海外取引にかかる保険を手がける特殊会社。2015年9月に事業にかかわるシステム開発を進める目的でこの男性と業務委嘱契約を結んだ。男性は、知り合いの業者2社に仕事を落札させるため、業者の提案書の一部を自ら作成するなどした。NEXIは入札を経て、15~17年に合計約52億円の契約を2社と結んだ。
昨年秋以降、NEXIや所管の経済産業省に告発があり、第三者委員会が調査。NEXIは問題が発覚した後の今年7月に男性との契約を解除した。業者側から男性への謝礼の支払いなどは「確認できなかった」(担当者)という。
板東社長は元経産官僚。男性が顧問に就いたのは、板東社長と知り合ったことがきっかけだったという。