英国議会下院(定数650)で16日夜(日本時間17日未明)、最大野党・労働党が出したメイ政権への不信任案が採決され、賛成306、反対325の反対多数で否決された。3月末に予定される英国の欧州連合(EU)からの離脱方針をめぐり、メイ首相には与党・保守党内からも批判が高まっていたが、野党とともに「メイ降ろし」に加担することは避けた。
「オー!」と喜んだが…EU離脱派・残留派、埋まらぬ溝
離脱・残留両派が歓迎、皮肉な「否決」 英の離脱協定案
英議会下院では15日、メイ氏がEUとの合意にこぎ着けた離脱協定案が採決され、反対が賛成を230票も上回る歴史的な大差の否決となった。保守党からは118人が造反。閣外協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)の10人も協定案に反対した。
だが、いずれも不信任案の採決では、労働党に同調しなかった。メイ氏に反発しても政権交代までは望まず、政権への影響力を保つことを選んだ形だ。
メイ氏は21日までに、離脱をめぐる代替案を議会に示すことになっている。議会の信任を得た直後、打開策を探るため、野党各党の議会代表を個別に招いて協議したが、最大野党・労働党は、社会の混乱が予想される「合意なし離脱」を離脱方法の選択肢から外すことを協議の条件とし、メイ氏側が受け入れなかったため、協議は見送られた。
メイ氏は16日夜の演説で「協議は簡単ではないが、議員らは国益のために行動し、合意を形成し、離脱を成し遂げる義務があると分かっているはずだ」と協力を呼びかけた。だが、議会の多数が納得する案を短期間で見いだすのは難しいとみられ、EUからの離脱の行方は不透明なままだ。(ロンドン=下司佳代子)