半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、国内で希望退職を募って700~900人規模の人員削減をする方針を固めた。経営危機は脱し、黒字が続く体質になったものの、今後の成長に向け、より海外に注力する必要があると判断した。国内での大がかりな人減らしは、2015年1月に1700人超が希望退職して以来となる。
対象は技術部門や総務、人事といった間接部門などで、35歳以上になる見通し。今春に募集を始め、退職は6月になる方向だ。すでに労働組合と協議に入っている。900人が退職すれば、国内の従業員約8%の削減に相当する。
ルネサスはNEC、日立製作所、三菱電機の半導体事業を母体とし、2010年に発足。自動車向けの半導体で世界有数のシェアを握る。各社の工場を引き継いだことで設備の過剰に苦しみ、東日本大震災で主力工場も被災して経営危機に陥った。13年から官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)の傘下に入って工場の売却や人員削減をくり返し、業績が回復した。
17年には3千億円超を投じて米国の半導体メーカーを買収。さらに昨秋にも米メーカーを7千億円超で買収すると発表し、経営のグローバル化を進めて攻めに転じる姿勢を鮮明にしていた。
ルネサスの筆頭株主は、いまも約33・4%を持つINCJだ。「公的資金」を受けて再生しながら人減らしを続ける経営に対し、批判が高まる可能性もある。(内藤尚志)