千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が亡くなった事件を受け、政府は8日、虐待の疑いがある子どもについて、1カ月以内に安全確認させることを決めた。緊急性を打ち出した形だが、児童相談所や学校からは、恒常的な態勢の充実を求める声が上がる。
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特集「小さないのち」
政府が緊急安全確認を打ち出したことを受けて、大口善徳・厚生労働副大臣と浮島智子・文部科学副大臣は8日午後、千葉県野田市を訪問し、鈴木有市長や佐藤裕教育長から2時間にわたって事情を聴いた。面談後、大口氏は「少しのリスクも見逃さないことを徹底させる。リスクが高まっている兆候があれば積極的に調査をするようにしたい」と発言。浮島氏も「全国の学校や教育委員会の虐待への対応を総点検する。児童相談所としっかり連携するための検討をする」と緊急策の重要性を訴えた。
だが、現場からは実効性について疑問の声が出ている。緊急安全確認では、リスクが高い場合、一時保護や立ち入り調査などの対応をとることがあらためて求められた。ある児童相談所長は、体のあざなどの証拠がつかみづらい心理的虐待や育児放棄(ネグレクト)を例に挙げ、一時保護すべきか判断に迷うケースがあったと語る。「弁護士と適切に連携するなど、『事実』を見極められる体制を整えないと、『難しい』で終わってしまいかねない」
「1カ月以内」という確認期限…