2年前のクリスマスイブに大阪府箕面市の集合住宅で、交際相手の長男(当時4)に暴力を振るって死亡させたとして傷害致死罪などに問われた松本匠吾被告(25)と、知人の大倉敏弥被告(21)に対する大阪地裁(大寄淳裁判長)の裁判員裁判は25日、検察側が両被告にそれぞれ懲役12年を求刑し、弁護側が情状酌量を求めて結審した。判決は3月1日の予定。
特集「小さないのち」
検察側は論告で、両被告は2017年11月から同居した筒井麻衣被告(27)=同罪などで起訴、公判前整理手続き中=に要求され、筒井被告の長男歩夢ちゃんと次男(3)に日常的に暴行を加え始め、同12月24~25日に歩夢ちゃんの腹を殴って死亡させたと指摘。筒井被告の要求は暴行のきっかけにすぎず、関与の度合いは3人とも同じで「責任は同等に重い」とした。
そのうえで、松本、大倉両被告が生活費を筒井被告に頼っていたことなどをふまえて、「仕事もせず自堕落な生活で、自分たちの憂さ晴らしから暴行に及んだ。逃げ場がなく第三者の助けもない状況で、子どもに卑劣にも大人3人でやりたい放題の暴行を加えており、まさに拷問というほかない」と非難した。
一方、松本被告の弁護側は最終弁論で「積極的に暴行したわけではなく、深く反省している」などとして懲役6年が相当だとし、大倉被告の弁護側も「従属的な立場で反省している」などと主張。ただ、致命傷となる暴行はそれぞれ否定するなど責任を押しつけ合う形となった。両被告は最終意見陳述で「一生罪を償っていきたいと思います」などと述べた。
この日は歩夢ちゃんの祖父が「できる限り重い処罰にしてほしい」とした意見陳述書も読み上げられた。(大部俊哉、多鹿ちなみ)