東京都が公表した児童虐待防止条例の骨子案は、家庭内の体罰や暴言の禁止に踏み込んだ。罰則はないものの、積極的に虐待の芽を摘むべきだという姿勢を打ち出した。「しつけ」と称した保護者の虐待がなくならないなか、体罰の禁止を明記する必要があるとの意見が強まったという。
「しつけ」の名で虐待 専門家「どの家でも起こりうる」
児相の対応、専門委「あぜんとした」 結愛ちゃん虐待死
「体罰や暴言は、人によっては『しつけ』の一環だと言うと思うが、それによる恐怖がトラウマになり、エスカレートして虐待までいってしまう」。小池百合子知事はこの日の記者会見で強調し、「虐待死を防ぐための工夫と課題を吟味して、よりよい条例案にしていく」と語った。
今年3月、目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が両親から虐待されて死亡したとされる事件を受けて、小池氏は独自の虐待防止条例をつくると表明。条例の内容を検討した有識者らの都児童福祉審議会では、家庭での子育てにどこまで踏み込むかが焦点となった。
家庭内での体罰の禁止を明記した法律はなく、民法は親権者に子どもへの「懲戒権」を認めており、「しつけ」と称する体罰はなくならない。自治体では、川崎市が条例で「親等は子どもに虐待及び体罰を行ってはならない」としているが、都などによると、こうした条例を定める自治体は一部にとどまるという。
都の審議会では「目黒の事件を…