体操男子で世界一を争う日本と中国の異例の合同合宿が東京都北区の味の素トレーニングセンター(NTC)で行われている。昨年の世界選手権の団体総合では中国が優勝し、日本は3位。内村航平(リンガーハット)や白井健三(日体大)は何を感じたのか。2020年東京五輪に向けた巻き返しへのヒントとは。
体操ニッポン、中国と異例の合同合宿 「謎解明したい」
「何をとっても刺激しかない」。練習が報道陣に公開された13日、内村は率直に感想を話した。
今回の合宿は、日本と中国が互いの練習法などを学び合おうという趣旨で実現し、1月下旬には日本選手が中国・北京のNTCへ出向いた。日程はそれぞれ約1週間だ。
中国の選手たちは合宿初日の12日から、みっちりと練習をこなした。内村は「初日はあまりやらないのかなと思ったら、すごいやってて。改めて、命をかけて体操をやっているんだなと感じた」と話す。
内村が特に注目したのは、世界選手権の個人総合2位の肖若騰と種目別平行棒王者の鄒敬園。「気がつけばこの二人ばかり見ている」と言うほどで、「機械的(に正確)な動きの中にもしなやかさもある。今のルールにおいて一番、点が出る演技。日本選手も、もっとかちっとした演技をめざさないと」と話した。
白井は「中国選手は基礎をすごく大事にしていて、いつまでも初心を忘れていない」と感じた。
普段から当たり前にやっているような技でも、決して「慢心」することなく、基礎的な部分から確認しているのだという。「僕はそこまではできていない。できた技に対しては、良くも悪くも自信を持ってしまっている。毎日、基礎から確認する必要がある」と、気づかされた。
また、1月で30歳になった内村はこうも言う。「正直、僕は(体操が)できあがっているので、これから取り入れても意味がないんじゃないかというのはある。でも、ジュニアの選手には取り入れてほしいことがたくさんある」
現時点で先行されている中国から、日本が何を学べるか。東京五輪を目指す選手たちが刺激を受けるだけでなく、未来の体操ニッポンにとっても、価値ある合宿となりそうだ。(山口史朗)